見えないけれど…

城です。

昔から土木関係の仕事をしているSさんがうちにきて話していきました。

最近、農家の井戸をつぶす工事を頼まれた。

でも、井戸をつぶす工事は怖いんだ、と。

今まで、大手ゼネコンの建築現場などの工事でも、ずいぶん仕事したけれど、

井戸を壊すとき、鳥居を壊すときなどは、神主さんを呼んでお祓いをする。

それからじゃないと、工事は行わないそうです。

何故なら、お祓いをしないでやると、工事現場で、誰かが怪我をするから。

大手ゼネコンは、信心深いんじゃなくて、工事が遅れるのが嫌だという、合理的な観点からの判断なのでしょうが、そういうものを無視して工事すると事故がおきる、という認識があるから、それを避けようとするのですね。

それで、依頼された農家二代目に、お祓いをするように頼んだけど、必要性がわからず、首を縦に振らない。

自分一人では工事できないから、仕事仲間に、手伝ってくれと頼んだら、

その仕事仲間は、「今まで井戸をつぶす工事を3回やって、3回とも怪我をしたから、やらない、」とか。

今どき、職人さんは仕事がなくて、どんな仕事でも助かるところなのに、よっぽどイヤなのでしょうねぇ。

昔から、人々が大事にしているもの、恐れあがめているものは、やっぱり粗末にしない方が良いようです。

私たちには見えないけれど、神社にも、井戸にも、神様はそっと静かに、存在しているのかもしれません。

金子みすずじゃないけど、見えないけれど、あるんだよ。ですね。