賃貸の築年数について

こんにちは、城です。

 

最近の皆様は家、部屋を探す時、すぐに不動産屋に行くのではなく、インターネットの検索サイトを使いますよね。

スーモとかアットホームとか…、色々な不動産専門検索サイトがあります。

そこに希望物件の条件をチェックしてご自分の探している物件をピックアップしていくシステムですよね。

最寄り駅、家賃、部屋数、DKなのかLDKなのか、駅からの移動時間、地域、設備等々 そして「築年数」もチェック項目の一つです。

築年数というのは、住んでいる時はあまり意識しないでいることが多い事柄で、検索サイトで選ぶときに、初めて築年数?何年ぐらいがいいのかな?って考える人が多い気がします。

なんとなくそんなに新しくなくても良いから、ただ古すぎるのは嫌だし、このぐらいかな?みたいに選ぶ方が多いのではないでしょうか。

家賃や部屋数、駅までの歩く距離などは毎日の生活でひしひしと感じるところで、皆さんこだわりがある部分ですが、築年数は何年まで、と断定して探す方は多くない気がします。

そこで今日はあくまでも私の個人的な考えですが、築年数について長年の経験から感じていることを述べてみたいと思います。

 

築年数というのは、間取りや平米数や駅までの距離と違い流動的です。

せっかく新しい物件に入居したとして、そこが気に入って住み続け10年15年経ってしまえば、築年数15年物の物件になってしまうのです。

給湯器やエアコンなら古くなれば壊れてしまい交換するしかない消耗品ですが、家やマンションはそうはいかないです。

その物件で借主さんが15年間快適に暮らしたとしても、その事実はその家の価値には反映されず、ただただ築年数で判断され価値は下がってしまうというのは辛いところです。

聞くところによると、海外では古くなったからと家の価値は下がらないし逆に上がる場合もあると聞きます。家は修理して住み続けるものだという考え方だからです。

日本もそうなればいいのに、と思ったりする今日この頃ではあります。

 

出来ることなら新しい家が、気持ち良く住めるのでしょうが、新しいほど家賃が高い。

建築のコストがかかっているから仕方ないですが、古い物件もそれなりにコストをかけてリフォームさえしていれば、もしくはリノベーションしていれば

新しい物件と価値はそんなに変わらず家賃は安めでお得な物件になっているのもあると思います。

 

でも古さにも限度があるし…、一つの目安として言われるのが旧耐震基準から現在の新耐震基準に切り替わった、昭和56年5月です。

それ以前の建物より、それ以降の建物の方が地震に強い建物であると言えますから、そこを築年数選択の目安にするのも一つでしょう。

それでも、現在耐震工事を行っている場合もありますし、自分の家として特別注文で頑丈に建てた家と、貸家やアパートとしてチャチャチャっと建てちゃった家じゃ、差があるでしょうね。

 

昭和の家というのも、趣きがあるものです。レトロな味があって落ち着く、と自分のセンスで快適に暮らしていらっしゃる方もいらっしゃいます。

新しさより立地の便利さ、家賃の安さや広さ、重きをおいているかたもいらっしゃいますしね。

 

私が思うに、高度経済成長期からバブルの頃のような景気の良い時代は、貸主の方が立場が強かった。

建てれば貸せる、すぐ貸せる、家賃高くても貸せる、だからどんどん建てちゃいましょう‼みたいな風潮があり、

借主の気持ちになった間取り、設備などを考えるよりも、部屋数、戸数を増やすことが重点に置かれていた感が建物を見ていると思うのです。

それでも住む人達は喜んで住んでいたのだと思います。

昭和から平成の初めはまだまだ男目線=女の事情より男目線の家……的な考え方も強かった。

 

バブル崩壊後、景気が悪くなってくると、逆に借主さんの立場の方が 断然強くなってきて、借りていただくには、選んでもらうにはこうした方が、ああした方がいいはず、

働く女性にはこんな設備はどうでしょう、女性が使いやすいキッチンになっておりますかのように、借主目線、女性目線を意識して物件が作られ始めたと思います。

カウンターキッチンやらアイランド型キッチンなどが世に出てきたのも、台所はもう暗くて寒い場所じゃなく、住居の中心として位置付けられた証拠、女性目線の動線を考えてのことですからね。

だから、そういう点ではバブル後の物件というのも、築年数を指定する時の目安になるかもしれません。

築年数をどう指定するか迷われたら、平成に入ってバブルがはじけ、男社会の家から女社会の家にシフトしだした頃、

いつ頃かしら?平成7年以降ぐらいからの家ならひとまず選ぶ物件として良いのかなぁ、と思います。

 

バブル崩壊後も、日本の国にはリーマンショックや東北の大震災などの不景気の波は押し寄せてきました。

東北の大震災の後になると、防災に対する意識もより現実的になってきているので、大震災以降の建てた物件というのも築年数を選ぶ目安に良いかもしれません。

 

ここまで色々言っておきながら、築年数ではあまり伝わってこないこと、もお伝えしたいです。

 

同じ年に建てた物件でも、AというオーナーとBというオーナーでは建築や設備にかける意識が違えば、建物の内容が全く違ってきたりもします。

築年数が同じでも、窓サッシがペアガラスの物件とそうじゃない物件、お風呂が追い炊きできる物件とできない物件、とかね。

 

 

オーナーの考えに差が無くても、それを建てた建築会社の質で建物が全然違ってしまうこともあるのも事実です。

同じような設備間取りで、見た目もとてもおしゃれ、でも壁や床が薄くて音がひびきやすいとか、クローゼットや取り付けていたものが落ちてきたり設備が壊れてしまいやすい、とか、

そんなことも無いとは限らないのですよ。

TVで有名タレントが全国的にCMしている賃貸専門会社さんの物件で、こじゃれた外観だったりすると、「ここで暮らせばきっとおしゃれに暮らせそう…」となりますよね。

できれば住んでいる人の口コミとかも調べた方がいいかもしれませんよ。ちょっと築年数から外れました?(笑)

 

オーナーや建築会社の他にも価値を上げたり下げたりする要因になるのが、以前の入居者や周り近所の人

前住んでいた入居者が、手荒い暮らしだった場合と丁寧な暮らしだった場合では、クロスや床などある程度リフォームしていたとしても、フルリノベーションでもしていない限り、なんか同じ築年数とは思えない感じだったりします。

それから新築や築浅でも、周りの入居者に難があったりすると台無しな住み心地になってしまうわけです。

以前、新婚さんが新築の有名大手ブランドの賃貸物件に住まわれていた、のが上階の人とのトラブルが原因で、

わざわざ当社管理のお世辞でも新しいとは言えないしかも階下に大家さんが住んでいる物件に移って来たことがありました。

どうして引っ越すことにしたの?って聞いたところ、新築なのにご本人いわくやすぶしんで(笑)隣や上下の音が聞こえやすく、それが原因で階違いの男性(一人ぐらいの人)に毎日のように嫌がらせをされたこと、

管理会社に相談したところ、大手なので担当者の顔もわからず現地に出向いてくることもなく、親身とは言えない通りいっぺんな対応に不信感ばかり募ったこと、を挙げていました。

 

ご近所のトラブルは、法律で取り締まれるようなことでもない限り、中々解決するのは難しいところ。

入居者の中にとんでもない変わり者?困ったさん?が居たりする場合、どの管理会社も頭をいためるところではあります。

 

その新婚さんたちは、古い物件でも大家さんと顔を合わせて挨拶できて、入居者同士もお付き合いができる物件の方が安心して暮らせるから、ここが良いんだ、と言っていました。

以前の入居者は、15年以上住んでくれていたお部屋です。

その前から当社の管理していた駐車場を借りてくれていたご縁があったので、管理会社の対応などに関しても、気心が分かり合えている会社であるのも良い、と言ってくれたのも付け加えておきます(笑)。

 

 

転勤や人生の転機で、すぐに引っ越す場合もありますので、一概には言えないことですが、住みやすい快適に暮らせる物件なら、入居者はすぐに出ていかない傾向。

快適な物件は、新築で住んでいた人が出て行った後はもう古い物件となってしまう、っていうことも事実なのですね(笑)

となると、築年数ってどうだろう? そこまでこだわらない方が良いのかな?って思ったりするのが 不動産屋を長年やっていて感じる私の気持ちでもあります。