イムジン河

帰国して4日目、だいぶ、疲れが抜けてきた城です。

昨日の続きの韓国の報告をもう少し。

旅行の予定には無かったのですが、急きょ食事を共にした金さんのご主人のはからいで、

2日目の午後、ソウルからちょっと遠出のドライブをすることになりました。

ソウルから車で、小一時間も走れば、

オドゥサン統一展望台に到着です。

大型駐車場に車を止め、さぁ、着いた、見に行こう、といった時は、少し緊張感が。

看板に大きく、おかしな真似はしないでと、ハングルで書いてあると、聞いて、おかしな真似ってどんな真似?とか思いつつ…。

大型駐車場から展望台までは、無料で大型バスに乗りかえてゆくのですが、日本人は、私たち以外いませんでした。

子連れの家族、若いカップル、中年のグループ、いろんな韓国人がいました。

この何気ない川の風景、

ここは左の漢江と右のイムジン河が合流する場所、

韓国と北朝鮮に分断された国境の景色です。

川沿いの小高い場所にある展望台から、北朝鮮を望みます。

 

向こう岸に見えるのは、北朝鮮です。

展望台は、全くの観光目的のもので、兵隊や金網も見えません。

お土産屋やアイスクリームやおでんが売られる売店もあります。

展望台からみる景色の模型に、説明が書いてあります。

川の向こうの北朝鮮までの距離は約3キロ。

近いところでは400mといったところ。

近くて、遠い、距離です。 

東京タワーにあるようなコインを入れて見る望遠鏡が並んでいて、北朝鮮側の様子を眺められます。

集落には人っこ一人、車一台見えません。

鉄筋コンクリート5階立てくらいの建物がいくつか見えましたが、

皆、廃墟。

維持することができず、その建物を捨てて、人々は、その近くに平屋の家の集落を建て、今はそこに住んでいるそうです。

展望台は2層になっていて、最上階は外国人用。

外国人用は人がまばら。

日本語で北朝鮮の実情などを放送しています。

 

展望台から見える集落の85%は軍人とその家族ですが、普段は米を作っている。

と言っても、人がいるのが確認できるのは、何か記念日のような時にだけだそうです。

農業は、車も機械も牛馬もなく、すべて人力。

 

水を利用する技術も無いらしく、田植えの水を田んぼに引くのに、すごく時間がかかるため、

田植えも相当な期間かかる、などと説明していました。

山には木が生えていません。燃料のため伐採されたとか、人が隠れないように伐採されたとか、

いくつかの説があるようです。

 

東京と変わらない繁栄したソウルの街や郊外をドライブして来て、

ほんの小一時間のところには、北朝鮮という現実。

一つの国で、一つの民族だったのに、一方は食べ物もエネルギーも豊富で、エステや芸能界や車にテレビと繁栄している。

もう一方はエネルギーも、言論の自由も、食べ物も無い世界。

日本の国が、同じ目にあったら、どんなにつらく切ないだろう…。

韓国の人たちは、日本人にはわからない、悔しさ、憤りのようなものを、

心の奥に持って暮らしているのだろうと、感じました。